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Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) 218号

高齢の方は年とともに出歩けなくなって通院も大変です。タクシーや子供に送ってもらえるのはまだいいほうで、バスも不便な昨今、病院通いができるのは元気な方、という皮肉な事態に。そのなかでもご家族がついて来られる患者さんは奇特で、外来とおうちでの様子のあまりのギャップに驚くことも度々なのです。やはり外来では「よそゆき」の姿なんでしょうね。

「おかし」なはなし

「だいぶ太りましたねえTさん」すると付き添ってきた娘さん曰く
「そうなんです、もうお菓子が大好きで、ぱくぱく食べるんですよ、先生なんとか注意してやってくださいな」
「でも、おばあちゃんが自分で買ってくるわけじゃないでしょう?」
「ええ、まあ」「娘さんが買ってくるわけでしょう」「・・そう、ですね」
「まわりにあるから食べるんであって、なければ諦めるでしょうし」
「・・・」「まずは買うものと量を減らしましょうよ」
何しろ親子ですからね、人ごとじゃなく自分の未来の姿と思っていないと

こどもじゃないんだから

「ねむれねくて、くすりっこもらえねえべが」
「ちなみに、何時に寝て何時に床を出ますか?」
「んだな、11時過ぎに寝で、おぎるのは8時だべが」
「ずいぶん遅いですね。もっと早寝早起きしなくちゃ」
「だばって、なんにも仕事してねえしなァ」
「そんな、そもそも『早起きは三文の徳』って言うでしょう。
つまり朝早いと・・ってゆうか、もう大人なんだから、そんなこと説教させないでよっ!」
しつけや道徳は子どもに教えるためだけのものではない・・ハズですよね?

聞いたことに答えて!くださいね

「え~と、今日は血糖の検査ですね。朝ご飯は食べましたか?」
「ええ、うっかりしてちょっと食べちゃったんですよ」「何時に食べました?」
「いえ、ほんのちょっとですよ、昨日の残りとバナナを一本かな」
「まあ、食後の血糖と言うことで調べますからいいですけど、何時でした?」
「薬を飲むから食べなくちゃと思って、ついうっかりして」
「いいんですよ、それで何時に食べたか教えてもらえますか?」「え~と~」
訊かれると責められてるように感じてつい弁解になる人が多いですね

いまどきのトシのモンは

ハンバーガー屋のレジに並んでいたときのこと
しげしげとメニューを見つめていたおばあさん
「あのうこのトリの手羽、200グラムばかし下さい」「はあ?」
またあるとき健診で入ってきたおばあちゃん
「はい、まず体重を量りますからね、ここに乗ってください」
「あいよっ」「52キロですね」
「んっ?それ"カン(貫)"にすればなんぼだすか?」「はいっ?」
わたしがとなりでニヤニヤしてメモをとったのはもちろんです

個人で楽しむ以外に

「血圧高いですね」「おかしいわね、家じゃこんなに高くなることないですよ」
「血圧計もってるンですか」「ええ、毎日はかってつけてます」
「な~んだ、じゃあこんどから持ってきて私に見せてくださいな」「そうですか」
「おそらくあなたの血圧に興味があるのは私くらいでしょうからね」
そもそも見せて頂きたくてどしどし血圧手帳配っているんだし
自分だけ眺めてニヤニヤしてもしょうがないと思いますけどネ

がんばらない

「少し太りましたね、お散歩とかしていますか?」「いえ、ぜんぜん」
「まあ週に2・3回、30分でもいいですから歩いてみましょうよ」
「そうですね、なんとか頑張ってみます」「がんばらなくていいですよ」「?!」
「もともとお散歩はすがすがしくて気持ちいいものじゃないですか。それを"体重減らすんだ"とか

"やらなくっちゃ"と思ってやるとたいがい続かないですよ」「そうですか」
脇目もふらずに早足で歩き回っている人は、なんかもったいないですネ

転載:月刊東洋療法 218号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
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