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Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) 222号

若い人と違い(?)お年寄りはものの言い方が控えめなので、真意を掴みかねたり、言いそびれて損したり、あとで看護婦に申し出てまた診察しなおし・・・なんてことがよくあります。つい詰問調になってしまうのも良くないので、行間?を読んだり、だいぶ経験から推測できるようにはなったつもりですが、まだまだです。医者の理想は究極のメンタリストなのかもしれませんね。

何のために検診?

「Aさん、このあいだの健診で肝機能がひっかかってますから、そのうちによくなったかどうか再検査しましょうね」
「ええ、そうですけど」
「お酒は控えてみましたか?」
「いえ、ぜんぜん。毎日飲んでます」
「う~ん。せっかく健診受けたんですから、指摘されたところは改善していかないとね」
「それはわかっているんですけどね」
なかには、毎年悪いのを確認するためにドック受けているような人もいますけどね
(「検査受けた」ということで安心してしまうんでしょうか)

だばって症候群

病気の治療のために生活上の注意・指導をしますが
「だばって(でも)、腰いでえがらあるげねえす」
「だばって、なに食べでもうめえがらなあ」
「だばって、たんぼど畑でいそがしいがらなあ」
「だばって、わだすは水飲んでも太るんだすよ」
「んだすな、へばやってみるす(そうですね、じゃあやってみます)」
という御返事はなかなかいただけません

物忘れ予防法

「血圧手帳見せてくださいな」
「あっ、忘れだす。きのうまでは、明日忘れないで持って行こうって憶えてたのに、なんだべェ」
「そうですか、それはしょうがない。忘れ物しないコツはですね、思いついた瞬間にそれを実行に移してしまうことですよ」
「はあ」
「あした忘れずに持って行こう。じゃなくて、そう思ったら、すぐに手帳をカバンに入れてしまうんですよ」
「なるほど」
ただ、この方法もおぼえていないと永遠に実行できませんけどね

□□だけにはなりたくない?

「また肺のレントゲンの検査お願いします」
「はい、結構ですよ」
「なにしろ親父が肺ガンだったもんだからね、心配で」
「でもCさん、他の検査、たとえば胃とか腸の検査は受けていますか」
「いえ、ぜんぜん」
「もちろん肺ガンはこわいですけど、ほかの病気にはなっても良いというわけじゃないですからね」
「あたるの(卒中)だけはいやだ」
「ボゲるのだげはやだす」
みなさんそれぞれです

主語が無いです

「具合はどうですか?」
「ええ、変わりないですね、あいかわらず便秘でときどき転んだりしてはいますけど」
「ころぶ? あなたがですか?」
「いいえ、おばあちゃんです」
「あれっ(カルテを見ると患者さんの代理でみえた娘さんのようです)これは失礼しました」
気づかない私がいけないんですが、しまいまでちぐはぐなこともたまにありますね

述語が無いです

「変わりないですか」
「いやあこのあいだ、あれして、あそこにいったんだすよ」
「あれって?」
「あれですよ、そしたら検査して大丈夫だって」
「あれって?」
「ほら、あそこ、なんていったけなあ、そう○○外科だ」
「だから、あれってナンデスカ?」
「んーと」
「まいいですけど・・・ぶつぶつ」
ストーリーも省略しすぎると何のことだかわかりません!

転載:月刊東洋療法 222号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
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