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Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) 223号

介護保険がスタートしてからは、医療、特に開業医の外来は様変わりしました。もともと高齢の方は、お薬を処方してハイ解決、ということは少なく、自宅での介助や見守り、自立支援などが必要で有効な方が多い。そこを介護サービスがカバーするようになったのです。デイサービスに通うようになって医院に来なくなった方もいます。逆にヘルパーさんから受診を勧められて来る方もいます。両者が上手くバランスを取って相互補助的に働くのが理想なんでしょうね。

まだお世話にはなりません

90を越えたおばあちゃん、娘さんが付き添って来院
「お薬は足りていましたか?」
「ええ、お昼どうしても一人になるので飲み忘れがあって、余ってたんですよ」
「そうですか、介護サービスとかヘルパーさんとかは利用してないんですか?」
「ええ、まだ元気だしそんなに寝たきりというわけでもないですから」
「いまは介護予防といって、寝たきりやボケにならないようにいろんなサービスを利用しましょうという動きなんですよ(云々かんぬん)」
その気概はもちろんいいですけどね

たとえに突っ込まないで!

「Tさん中性脂肪が高いですね」
「食事は気をつけてるんですけどね」
「そうですか、意外と気が付かない食習慣があったりするんですよ。たとえば缶コーヒーが大好きだとか」
「のみません」
「たとえば揚げ物が大好きだったりポテトチップスを食べたり」
「そういうのもあんまり食べないです」
「ですから、たとえばということでそういう習慣はないか見直してみて、ということを言いたいんですけど」
「気づいてもらう」というのはしんどい作業ですね
(外来小咄に突っ込みを入れたい方もガマンしてくださいね)

聞かないと答えない?

「かぜひいて、のどいだくてきたす」
「どんな具合ですか? う~んセキは出ますか」
「夜中セキして眠れねえくらいだす」
「…熱は?」
「きのう39度まで上がったす」
「…鼻水は?」
「もうたれっぱなし」
「…あたまどうですか?」
「がんがんするす」
「…そりゃあ大変ですね」
顔に書いてあるわけじゃないのでやはりどんどんしゃべって頂かないと

具合が悪くないと高くない?

「自宅で血圧はかってますか?」
「いやあ最近はかってないね。だってめまいもしないしなんにも具合悪くないからさ」
「でもですね、ほとんどの人は症状ないんですよ。ほらいま170/80もあるけど、なんともないでしょう」
「ええ、でもこんなに高くなったことないよ」
「ないんじゃなくて、はかってないからわからないだけかもしれないじゃないですか」
血圧高いと具合悪くなるなら、もっと病院は繁盛してるはずですけどね!

貯金か借金か、それが問題だ

「Oさん体重少しずつ増えていますね」
「そうなんだすよ、気をつけてるんだけどぜんぜん減らなくて」
「減らなくても良いから、せめて増えないようにしないとね」
「困ったもんだす」
「内臓にたまった脂肪は貯金じゃなくて借金ですからね。病気というツケまで支払わなきゃいけなくなりますよ!」
漫才でも「奥さん届けだしてますか?<シボウ届け>?」というブラックジョークがありましたネ

病院のはしご

いつもめまいの注射をしていくKさん、また顔を見せました
「あれっ、さっき注射して帰ったんじゃないのかな」
「んだすばって○○外科に行って電気かけてもらおうと思ったら、なんだが具合悪ぐなってまだもどってきたす」
「あれまあ」
そういって今度は吐き気どめの注射をするハメに
「病院をはしごしてもどんどん元気にはならないってことだね」 「ふんとに」

転載:月刊東洋療法 223号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
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