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Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) 227号

どの業界・職種でもそうだと思いますが、そこだけで通用する独特のルールやしきたりみたいなものがあります。毎日どっぷりとつかって疑問に思わないでいると、当たり前に思ってしまうのですが、世間的な常識からは外れてしまうことが結構あるもの。医者、病院も典型かもしれません。自分や家族が病気して患者さんの立場になって初めて、なんだか変だなと思い知ることが結構あります。自分も、青年会議所というまちづくり団体に数年所属していたことがあり、異業種の仲間と付き合うことでいろいろなことを社会勉強させられました。この時得た人脈と経験は今でも大事な宝物です。

診察時間一定の法則

かつて国立病院で多忙な外来を「こなして」いたときのこと
下手すると4時5時までかかる「午前の」外来でした
(よく患者さんも待ってくださったものです)
なにかのぐあいでポッカリと空いた日があるもの
すると私は「同じペースで」患者さんを診て
「いや~、今日はすいてたね、早く終わって良かったあ」
「時間があればその分患者さんをゆっくり診る」というのは幻想かも

いっそ断食療法か?

「きょうは胃カメラをお願いします」
「じゃあ今朝は食べないでいらしたんですね」
「はい」
「あれっ血圧が低いですね、薬も飲んでないんでしょう?」
ただし、薬だけ飲み忘れた場合は血圧は高いまま。
・・・ということは「朝飯抜きが血圧を下げる」のかも!
「食べ過ぎが万病の元」の裏付けになりそうです

大病院志向(嗜好)

カゼで受診されたSさん、高血圧で総合病院に通院中とのこと
「血圧で○○病院に通っているんですね?」
「通ってるといっても2ヶ月に一回薬をもらうだけで」
「医者の診察は受けないんですか?」
「4ヶ月に一回かな」
「血圧はちゃんと測っていますか?」
「うん、4日に1回は自宅で測ってるよ」
「それを主治医には見せていますか?」
「いいや」
「やっぱりね・・・」
思わず言いたくなりました
「そんな病院のどこが良いんですか!?」

宝の山を前にして

「すいません、ここ1ヶ月ず~とおばあちゃんに付き添っていたもので」
「ええ、大変ですね」
「だから血圧全然計れなかったんですよ」
「そうですか、でもずっと病院にいるんですよね」
「はい○○病院です」
「だったら廊下に自動血圧計がおいてあるでしょう」
「・・・そうですね」
「いいたいことはおわかりですよね」
「はい」
病院の中で病人に付き添っていて具合が悪くなる人、結構いますね
相談したり治療受けやすいハズなのに、と思うのは医療関係者の偏見?

患者主導の医療?

「いつもの薬と、シップ、それに心電図お願いします」
「動悸か何かするんですか?」
「いいえ、しばらく検査してないがら」
「まあ、やるのはかまいませんけど・・・(保険が、ぶつぶつ)」
別のかた
「いつもの薬と、下剤と、睡眠薬下さい」
「便秘なんですか」
「ええ」
「それに、眠れないんですか?」
「んだす」
(主訴→診察→検査→指導・処方・・・という流れは崩れ去る)
いっそスーパーかコンビニ医院のほうが気楽でいいのかも!

「きのうの風邪」に薬は効くか?

「きのう具合悪かったんですけど、休みと勘違いしてこなくて」
「どんな具合ですか?」
「3回下痢して、セキが少し、寒気がちょっと」
「いまもそうですか?」
「いいえ、いまはすっかり良くなりました」
「それは良かったですね」
「ええ、でも心配だから薬もらおうと思って」
「えっ、だって具合は悪くないんでしょう」
「はい」
開業医ですから(苦笑)薬はお出ししますけどね(ぶつぶつ)

転載:月刊東洋療法 227号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
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