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Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) 228号

「臨床経験が長い医者ほど、自分が治せない患者さんの訴えを上手にはぐらかす知恵を持っている。自分の診療科に関してイエスかノーかでしか答えられない質問をするようになり、結果として患者さんが不満や訴えを言いづらい雰囲気を醸すようになる」と、モダン・カンポウを提唱する新見先生の著書に指摘されていました。 まさに図星です。訴えられても正直対応できないとわかる分野には踏み込まない。 最近の専門分化がこれに拍車をかけ、細分化された診察科の間で患者さんは迷子になるのです。漢方や鍼灸などの代替医療がこれをカバーすべく期待されています。私も懐の深い医者になりたいものです。

10円で済む話

「きのうカゼで具合悪かったんですよ。でも病院お休みだと思って家で寝ていました」
「そうですか、昨日からやっていますよ」
「なんだあ」
「それはお気の毒。いまさら言ってもしょうがないからいいませんけどネ(診療時間は張り出してあるし、やってるかどうかは電話一本で確かめられることですが)」
携帯世代には考えられない話かもしれません

一言で済む話

「Hさんさっき血圧はかったら170の90あったので少し休んでもらってまたはかったんですよ。それでも全然下がらないので、どうしましょうか?」
「じゃあ入ってもらってください」
「はい、どうぞ」
「ちなみにけさ血圧の薬、飲んできましたか?」
「いいえ」
「それじゃあいくら休んでも下がらないでしょうね」
まあ、その証明にはなったわけで、ご苦労様でした(トホホ)

傾向と対策

「職場の健診でひっかかりましてね」
「ええ、何が異常がありましたか?」
「胃潰瘍の疑いと肝機能と中性脂肪、なんですよ」
「そうですか」
「自分で考えたところ」
「はあ」
「飲み過ぎ食べ過ぎとコーヒーにタバコ、あとストレスが良くないと言うことがわかりました」
「ご自分で原因を分析したわけですね」
「はい」
「それで、何か対策はたててみましたか?」
「いいえ、きょうは再検査してもらおうと思って来ました」
私の分析では、足りないのは「病識」と「危機感」でしょうか

ヘタすると命取り

耳の遠いEさん、今日は超音波の検査をします
「は~い、息を吸ってェ、とめていてくださ~い」
「(スー)」
「はい、楽にして」
「・・・」しばらくすると
「せんせい、いづまで息止めてねばネスカ?」
「あれっ、そうか、聞こえませんでしたか、ゴメンゴメン、楽にして下さい」
「フー、くるしがったァ」
こうなると命に関わる問題ですね(まあそこまでガマンできませんけどね)

めまいがするとき

「最近、ときどきめまいがするんですよ」
「そうですか、天井がぐるぐる廻る感じですか?」
「いえ、ふわーとするようなかんじですね」
「たとえば、どんなときに起きますか?」
「えっ、めまいがするときです」
「…」
「もちろんそうでしょうけど、たとえば朝起きたときとか、歩いてるときとか…」
医者がめまいを感じるのはこういう御返事をもらったときですけどね

栄養剤はそんなに「えい(良い)よう」?

「なんだかじんましんが出てかゆいんだすよ」
「ホントですね、何か心当たりはありますか?食べ物とかお薬とか」
「ないですなあ。まあもしかするとこれですかね」
取り出したのは市販のビタミン剤「最近飲み始めたんですか」
「いや、もうずっとのんでるけどね。いっぱい飲めば元気になるかと思っていつもの倍飲んでみたんだ」
◯◯がなんと何百倍!とか、そんなに必要なわけないんですけどね

転載:月刊東洋療法 228号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
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