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Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) 230号

「健康がイチバン大事」というセリフを聞くたびに、やはり病いや老いにたいする不安は、深遠なものがあると感じます。つきつめればそれらは「死に対する恐怖」に行き着くのでしょうが、社会や生活は、それを巧妙に隠そうとする工夫に満ちています。なにも常日頃むつかしい顔をして悩めというのではなくて、しっかり向き会えば、実は意外と正体は簡単で気持ちが楽になるもののような気もするのです。

「ない」のに「ある」のが「ありがち」

「風邪ひきましてな」
「熱が高いようですね」
「ええ」
「ほかに症状はありますか?」
「ありません、熱だけです」
「たとえば、セキが出るとか」
「セキは出ます」
「寒気はどうです?」
「しますね」
「頭が痛いことはないですか?」
「痛いです」
じゃあ、けっこう症状はあるようですね(笑)

いっそ冬眠したら

「最近めまいがするんだすよ、立つときにふらっとして」
「立ちくらみかな」
「んだべが、わだし睡眠薬をふたつ飲んだがらだべが」
「ええっ、ふたつも? そんなに眠れなかったんですか?」
「昼寝しようとおもったら眠れねーがら昼間にひとつ飲んだんだす」
「(びっくりして絶句)」
「おがしいすか?」
「そうまでして眠っていたいのはどうしてなんだろうね?」
昼寝のために睡眠薬飲んだのは初めてですネ

プロに任せて!くださいね

「胃カメラの結果ですが大きな問題はないようですね。これが十二指腸で、これが胃の中です。え~と」
「これはなんだすか?」
「えっ、どこですか」
「ほら、ここの白いやつ」
「これは光が反射しているだけで大丈夫です」
「へば、これはなんだすか?」
「これは胃カメラが写ってるんですよ。心配なのはわかりますけど、専門家が大丈夫といっているんだから」
そんなに頼りないのかなあ…(ショボン)

それは「不安」

「便が出なくて心配で…」と通っていたNさん、一段落すると
「せんせい、のどがなんかひっかかった感じで気になるんですよ…」
それも、あれこれあって一段落、今度は…
「動悸がして胸苦しくなるんですよ」
「気持ち」にも悪性のものがあって、あちこち転移するんでしょうね

命がけの仕事

先輩がぼやいていました
「家を新築してね」
「それはおめでとうございます」
「ローンの支払いもあるから、新しく生命保険に入らされて」
「ほう」
「ハンコをついた後、女房が『これで、パパどこに転勤になっても安心ね』って、おいおい、それはないだろう」
「はあ」
男の「命賭けの仕事」も、意味が変わってきているようです
(患者さんに刺されたりするから、いまどきの医者も命がけです)

脳みそも食べますか?

「せんせい、わたしこんなもの飲んでも大丈夫だスカ?」
「なんですか?」
「膝が痛いっていったら、友だちがこれ飲んでみろって」
「はは~ん、いまはやりのグルコ◯ミンとかコ◯ーゲンというやつですな」
「だめだすか」
「いいですよ、ただ効くかどうかはノーコメントですけど」
「…」
「軟骨を食べれば軟骨が増えるのなら、肝臓が悪い人はレバ刺し、心臓が悪い人はハツ、腸が悪い人はホルモンなんかをどんどん食べればいいと言う理屈でしょう?」
「んだすな」
「じゃあボケた人には脳みそを食べさせればいいと言うことになりませんか?」

転載:月刊東洋療法 230号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
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