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Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) 236号

今年は初雪がいきなり大雪になり、とまどいが広がっています。いよいよ雪国の長い冬の始まりです。毎朝、文句も言わずに(誰にもいえませんけど)雪かきを黙々と続ける。東北人の寡黙で我慢強い気質は、こういった気候風土で鍛えられたものもあるような気がします。白魔(はくま)になることもありますが、白い天使と思って慈しみたいもの。

出来ないことと出来ること、どっちが多い

「先生、わだしはもうトシで、ヒザがわるくて、どもなんねえス、ホント、どうもなんね、どうしようもねえ、ぶつぶつ」
「そうだねえ、でもね、ご飯は自分で食べてるでしょう?」
「ハイ」
「耳は聞こえるでしょう?」
「まずな」
「夜も眠れるし、一人でお風呂に入れる」
「はあ」
「60代で寝たきりの人もいるんだから」
「ばって、ぶつぶつ」

「なにしろありがたいっスな」という気持ちが出てくれば、ありがたいです

無理に思い出させないで

「うちのおばあちゃん、最近腰が痛い痛いっていうので、外科に連れて行きました」
「それは大変でした」
「検査してクスリもらって。そしたら、いままであんなに胃が悪い、おなかの調子が悪いっていってたのがぜんぜん言わなくなったんです」
「そうですか、それはよかった」
「?」
「お気づきでしょうけど、無意識に病気や症状を訴えることで自己主張するようなかたがいますね」
「はあ」
「何か一つのことに集中すると他は忘れてしまう」
「そんなもんでしょうか」
「まあよくなったのならそれはそれで良いわけで」

「○○は大丈夫?痛くない?」と毎日たずねるのも善し悪しかも!

そんなに血の気があれば…

「じゃあ血液検査しますね」
「あれっそんなに何本もとるの?」
「ええ、貧血検査と肝機能とかコレステロール、あと糖尿病です」
「そんなにとったんじゃ、逆に貧血になっちまうんじゃない?」
「大丈夫です(笑)、せいぜい10ccくらいですよ。あなたの体格なら5~6リットルくらい血液があるので、その1%にもなりませんから」
大学病院では教授が冗談めかして言っていました

「研修医が毎日のように血液検査をするから、長期入院患者さんは徐々に貧血になるんです。これを『採血性貧血』といいます」

名医の条件?

研修病院で一緒だった後輩から聞かれたことがあります
「先生はここの病院で誰が名医だと思いますか?」
「そうだなあ、それぞれ専門がちがうしなあ」
「わたしは○○先生ですね」
「そう、まあね、でもどうして?」
「自分がもし病気になったときに主治医になってもらいたいのは誰か?って想像してみるんです。それで最初に思い浮かぶのが○○先生なんです」
「なるほどね」

医者が診てもらっている医者を教えてもらうと良いのかも。自分はどうかな?

本当に心配なの?

「先生、きょうはずいぶん血圧が高いんですよ」
「寒くなってきましたから、少し注意して様子みましょう」
「いえ、心配なので、クスリを増やしてください!」
「そうお、じゃあ少し強くしてみますか」そして一ヶ月後
「はい、これ血圧手帳です」
「まあ、少し下がったかなあ・・・でも週に一回しか測ってませんけど」
「ええ、だめですか?」

だめじゃないですけど、ホントに心配なら毎日測ると思うんですけどね

PPK(ピンピンコロリ)

PPKは「寝たきりなんかにならずに(迷惑かけないで)ポックリ逝きたい」という願望の言葉です
「このヒザが腫れて痛くてしょうがないから、水抜いてもらえねべが」
「うちは内科だからちょっとムリですよ」
「そうかね、しかたないね、じゃあインフルエンザの予防注射はやってもらえるベガ?」
「いいですよ」
「わたしゃ、もうポックリいきたいと思ってるんだけどねえ」

と、なんだかんだ病院通いしている人が言うと、説得力に欠ける?!

転載:月刊東洋療法 236号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
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