トップ > お知らせ一覧 > Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし)241号

Dr.タコの外来小咄(がいらいこばなし) (241号)

桜が南から北まで順々に日本列島を花開かせていく季節ですね。樹齢百年を超えるような老木でも、同じように清廉な花弁を開くのを見るにつけ、時間にかかわらず変わらぬいのちのあり方を感じます。ヒトも少年から老人まで、世界を見つめている変わらぬ眼差しを持っていると思うタコなのです。

案ずるより産む(飲む)が安し

「胃の調子が悪いので、検査してもらいに来ました」
「じゃあ胃の透視はこの間やったから、今日は胃カメラにしましょう」
「えっ、だいじょうぶでしょうか? わたしにできるでしょうか?」
「大丈夫」
「ゲーてなったら、飲めなかったらどうしましょう、困ったな」
「まな板の上のコイみたいに、なにも考えないことです(笑)」
終了後「ほらね、ラクだったでしょ」
「はい」
「ヘタの考え休むに似たり」といいますが、あれこれ考えるとしんどくなる

ファイト一発!

「今朝からカゼ気味で、カラダがだるくて仕方ないんです」
「熱もありますね」
「とりあえずスタミナドリンクのんで、気合い入れようとしたんですがしんどくてきました」
「お気持ちはわかりますが、ああいうのも善し悪しでネ。やせ馬にむち打つようなもので、カフェイン、タンニン、糖、少しのアルコールでそのとき元気になったようでも、反動で後でかえってしんどくなったりしますよ」
毎日習慣で飲むお年寄りも多くて、たいそうな市場ですね

そんなバナナ

「今度の検査で気になったのは、カリウムが高いんですよ」
「かりうむ?」
「ええ、めったにあがらないんですが、あなたは少し腎臓が悪いのであがりやすいのかもしれません。とりあえず影響しそうなクスリを休みます。あと、食べ物、特に生ものを控えてください」
「なまものですか」
「ええたとえば果物や生の野菜、魚の刺身なんかですね」
「じゃあバナナもダメですか」
「バナナは特にカリウムが多いです」
「ここんとこバナナダイエットがいいと言うんで、毎朝食べてました」
「ひえー、でも痩せていませんけど、食事は?」
「普通に食べてました」
何かを売ろう、というダイエットを仕掛けてきます。食べものをへらすという王道は商売として成立しませんからね、言うのは医者くらい?

テーラーメイドな医療

「先生にお聞きしたいんですが」と製薬会社の営業さん
「高血圧の患者さんにどのように降圧薬を使いわけてますか?」
「その質問アバウトすぎる!」
「?」
「床屋に、どんな風に髪を切ってますか、と聞くようなもので『その人にあわせて』としかいいようがないでしょう。同じ高血圧でも年齢・性・合併症・体型・食事・性格、みんな違うしそれにあわせて治療を選択するでしょう。説明したら半日かかるよ、聞くかい?!」
聞きたいこと、宣伝したいことを百も承知でイジメテます(笑)
それに製○会社の関与が大きい?ガイドラインは厳しくなるばかり

元気になって退院?

「うちのおばあちゃんこの間ころんで骨を折って入院してたんです」
「それは大変でしたね」
「ええ、でも手術もうまくいって退院してきました。それはいいんですが」
「が?」
「入院中、夜寝ないで騒ぐのでと睡眠薬を飲まされて、トイレいけないからっておしっこの管を入れられて、寝てばかりいたので歩けなくなってしまって」
「(よくあるパターンですけど)」
「元気だったのが寝たきりになって帰ってきました」
じゃあこれからじっくりリハビリですね・・・やれやれ

転載:月刊東洋療法 241号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部。田んぼに囲まれたふるさとで診察する熱き内科医。
PAGETOP