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Dr.タコの外来小咄 (252号)

学生時代の教授回診でのこと。患者さんの前で教授が「この若い人たちはいわば竹の子です」「はっ?」「そのうち‘やぶ’になります、ガハハハ」と一人で面白がっていました。ちなみに藪医者とは「先の見通しが利かない」というもじり。みんなあちこちで立派な竹やぶになってるのかなあ。

ブレーキの踏み間違い

「こないだ具合が悪くて、血圧測ったらえらい高くてびっくりして」
「どれくらいでした」
「150の90かしら」
「はあ」
「これは大変だと思って何回も測っていたらそのたんびに上がるんです」
「そうでしょう」
「最後には190の100になって、心配で急患センターに行ったんです」
「そしたら」
「着いた頃には落ち着いて140の80でした。具合も悪くないし明日かかりつけで診てもらいなさいって、一体どうしちゃったんでしょう」
「ブレーキのつもりでアクセルを踏み続けていたんですよ」
「えっ?」
「皆さんニュースで聞くと自分だけはそんなことしないと思ってますけど、心のなかではいつもやってしまうんです」
まずは気づいて、アクセルを離しましょう


お互い様

「まだクスリあるすばって、息子さ送ってもらうのにあわせで今日きたす」
「そうですか、大変だね」
「んだす、年いげば自分ひとりで来れねえし、なもかも人の世話になんねばね」
「そんなに卑下することないですよ、息子さんだって小さい時はおばあちゃんがおんぶして運んであげたんだから、今度はお返し」
「でも、いまの若げ人さだばそんたことも言えねえす」
そんなわからず屋ばかりじゃないと思うんですけどね

せめて時間の順番に

「どうしました、車椅子で」
「おばあちゃん急に歩けなくなって」
「急に?」
「昨日はデイサービス行ったら、熱があるからって返されてきて」
「昨日?」
「おととい38度の熱が出たんです、それで夜急患センターに行って」
「おととい」
「熱冷ましだけもらってきて飲ませたんです」
「具合は・・・」
「そういえば先週、頭が痛いっていうから脳外科に行ったんです」
「先週?」
「ええ、脳は大丈夫って。でも今朝から右に傾くし、歩けないっていうんで」
「あのう、混乱しているようなのでまとめていいですか?」
シャーロックホームズばりピタッと言い当ててみたいものです

聞き上手になるために

「いやー、今年の冬は雪が続くすな」
「このあいだのめまいはどうなりました?」
「こんだけ雪が続くと・・・」
「めまいはどうだがと」と看護婦が聞き直す
「ああ、あのあとよぐなったす、おかげさまで」
「それはよかったですね」
「うちの畑で果物作ってるんだばって・・」
「はい、血圧測りますよ」
「そんで」
「はいしゃべらないでね」
「・・・」
この調子で要件だけ聞いていたらかみさんにしかられました

急がば回れ

「あー間に合った、12時までに来なくちゃと思って急いできました。あわてたから診察券も血圧手帳も忘れてしまったわ」
「っていうか、まだ11時ですけど、なにか用事でもあるんですか」
「ええ、まあ、買い物とかね」
「だったら午後にゆっくり来ればいいのに」
「あらっ血圧こんなに高いなんて、どうしましょう」
「急いだからですよ」
せわしない世間を診察室でのんびり定点観測しているタコです

転載:月刊東洋療法 252号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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